道路利用者の利便性向上と料金所運用業務の効率化を実現
OKIは、このたび中日本高速道路株式会社(社長 金子 剛一、本社 愛知県名古屋市、以下 NEXCO中日本)へ、新東名高速道路(注1)向けETCシステム(注2)を納入しました。本システムは、従来システムと比べ、道路利用者の利便性を向上するとともに料金所業務の効率化を実現しました。2012年4月14日、御殿場JCTから三ヶ日JCT間の約162Km(10インターチェンジ、3サービスエリア)にわたる新東名高速道路の開通と同時に、本システムは稼働を開始しています。なお、本システムはOKIグループの電気工事・電気通信工事を主とする会社であるOKIウィンテックが施工を行いました。
高速道路上には、ETCシステムを初め、通行料金の現金決済をする料金機械や交通情報を表示する情報板、ハイウェイラジオなどの様々な機器が整備され、高速道路の運用を支えています。近年、ETCの利用は一般化し、利用率は約90%に達しています。道路利用者の利便性向上や料金所業務の効率化は、ETCシステムのあり方に対しても大きく影響します。
このような背景を踏まえ、OKIが納入した新東名高速道路でのETCにおいては、安全性を高めるためETCレーン表示板の視認性向上(弊社システム従来比:150%)やETCカード未挿入のままレーンに進入した場合でも、その場でETCカードを車載機に挿入することで決済できるようにするなど、利便性の向上と業務効率化を実現しました。これにより、今回、より安全・快適に利用できるETCシステムとしてNEXCO中日本に採用いただきました。また、サービスエリアから高速道路へ出入りが可能なスマートインターチェンジ向け(ETC車専用のレーン)ETCシステムも納入しています。
OKIは、今回の新東名高速道路への各種システム納入実績を踏まえ、社会インフラである高速道路を支えるべく、「安全」「安心」で利便性の高いサービスを実現する商品の提案や開発を今後とも続けていきます。
NEXCO中日本向けETCシステムの特長
道路利用者の利便性能向上
ETC車線表示板視認性向上
弊社システムより従来比150%大型化することにより、視認性を向上しました。
ETCカード未挿入時の利便性向上
従来システムでは、阻止棒の前で停車した車両は入口レーンでは通行券を受け取り、出口レーンでは、一旦、ETCカードを係員に渡しての決済を行うためETCレーンの走行は不可能でした。本システムでは、ETCカード未挿入のままレーンに進入した場合でもカードを車載機に挿入することにより、再通信を行い、ETC決済を行うため、レーンの通行が可能となります。
料金所業務の効率化
複数料金所の管理を集中化
複数の料金所のETCシステムを一箇所で集中管理することを可能にしました。これまでは、料金所毎にETCシステムの監視業務を行っていましたが、運用状況などに応じ、集中管理を実施することで、業務の効率化が図れます。
出入口閉鎖用阻止棒の復旧自動化
発進制御機(注3)の閉鎖状態の阻止棒に車が接触し阻止棒が開放状態になった場合、遠隔からの操作で自動復旧を実現(従来は、収受員が手動で復旧作業を実施)しました。バーの復旧が迅速化でき、レーン運用の早期復旧が可能です。
遠隔遮断機の遠隔制御の安全性向上
従来システムでは、レーンの閉鎖や、本線車線の通行止めを行う場合、これまでは目視で車両の通行状況を確認しながら遮断機操作を行い、レーンや本線への進入を防止していました。本システムでは、車両の接近を検知できるレーザーセンサーを持つことで、通行が途絶えた状況を検知し遮断できるため、遠隔から安全に遮断機の操作が行えます。
ETCシステムのゲートイメージ
用語解説
注1:新東名高速道路
2012年4月14日に御殿場JCT~三ヶ日JCT間の約162㎞が開通しました。一度に162㎞もの高速道路が開通することは、日本の高速道路開通史上最長となります。今回の開通後、2014年度には浜松いなさJCT~豊田東JCTの約53㎞が開通し、最終的には、2020年度の伊勢原北IC~御殿場JCT間の開通で、海老名南JCT~豊田東JCT間の全長254㎞の高速道路になる予定です。現在の東名との間で相互に行き来が可能なダブルネットワークが形成され、災害等緊急時の代替路線の確保、避難路・緊急輸送路としての機能、緊急体制の支援など、安全・安心の実現とともに道路の信頼性が向上します。
注2:ETCシステム
有料道路の料金所などに設置されたアンテナ(路側機器)と自動車に搭載した端末(ETC車載器)で通信を行い、車両を止めることなく有料道路の料金支払いを処理するシステム。「自動料金収受システム」とも呼ばれています。
注3:発進制御機
ETCレーンを通行する車両に対し、阻止棒の開閉制御により、通行可否の指示を行う装置。